インタビュー

Interview

先輩移住者の声

移住者(Uターン)

「夏はそれほど暑くなく自然災害リスクも低くて安心して暮らせる」場所を探して

去年失敗してしまったひまわりですが、今年は立派に育ってくれました。

2023 年4 月、埼玉県より飯豊町にI ターン移住
内本 信之さん(東京都出身)自営業


移住のきっかけ

こんにちは。埼玉県戸田市から移住してきました内本と申します。父は長井市出身でしたので、こちら方面へは子供の頃から遊びに来ていました。

飯豊町へ移住後、ご近所の方から「それなら2 世代U ターンだね」と言われ「なるほど」と頷いてしまいました。今から4 年ほど前になりますが、戸田市の家の住宅ローン完済を前に移住を考えるようになりました。

自宅での仕事では塗装ブース内での作業が多く、夏の間は「この暑さをあと何年耐えられるかな?」と考えていました。また、住んでいた地区は埼玉と東京の境を流れる荒川が氾濫した場合、7m の浸水が想定されていました。数年前の台風では自宅の瓦が落ちる被害なども経験したので「夏はそれほど暑くなく自然災害リスクも低くて安心して暮らせる場所」が移住先の理想になっていました。


移住までの道のり

安心して暮らすことのできる場所を調べるため、まず水害や火山噴火のハザードマップ、政府地震調査研究推進本部の地震予測地図などを参考に移住先の候補地を絞りました。 

参考:埼玉と山形の地震予測地図(今後30 年間に震度6 弱以上の揺れに見舞われる確率が高いエリアは色が濃く表示)

そして各候補地の市町村ホームページなどに掲載されている空家バンク情報等を定期的にチェックして、「住まい」としての条件が近い物件を探して行きました。その後、興味があった現在の家について連絡を取り、移住定住コンシェルジュの家財さんに現地で所有者さんとお会いする時期等の調整をお願いしました。

すぐに連絡を頂き、現地へ行く日が決まりました。せっかく行くなら思い出に残る行程にしたいと思い、小型バイクで峠道をいくつも巡りながら往復しようとコースを決めて向かいました。結果的には移住先も決まったこともありまして、忘れられない良いツーリングの思い出となりました。


移住前に準備したこと

今回の移住に関しては「なるべく自分でやってみる」を目標にしてみました。空家バンク情報を見た時に快適に住むまでには結構手間が掛かりそうに思えたからです。まず、家や車庫のリフォームはもちろんですが、樹木や大きな石の撤去など畑や家の周りの整理に必要な作業をリストアップしました。それらを業者さんへお願いした場合の概算と自分でDIY した際の道具の購入・材料費等の概算・時間をインターネット等を利用しながらおおよその金額を出しました。

仕事量の調整や予算の確保などしながら検討した結果、元々DIY も手を動かすのも好きなのでやるなら体の動く今のうち、出来るものは自分でやってみようと決めました。

それじゃ家のリフォームに必要な「電気工事士」の資格も取ろう!と思い、移住する前の年に受験して二種の資格を取得しておきました。また、引越し時に借りるレンタカーのトラックに漏れなく積めるよう、バイク2 台、家電家具、引越し先で植えようと育てていた植物たちや仕事道具類をトラック荷台の配置図を作って積む位置や順序で何度も悩んだのが大変でした。

同時期に、これからお世話になる地区の方々に挨拶したいと移住定住コンシェルジュの家財さんに相談しました。ご挨拶先が何軒かも調べて頂けて大変に助かりました。

ご挨拶先も決まり、その時に持っていく品を何にしようかとインターネットで調べていた時に、飯豊で揃わないかな?と思い立ち、萩生駅近くの松乃枝商店さんを紹介して頂き、電話したところ、いきなりにもかかわらず親切に相談に乗って頂けました。

転入当日の朝に受取りに行った時、綺麗に包装されたのを見て大変ありがたく思いました。転入手続き後に地区の方々にご挨拶先に向かう際は移住定住コンシェルジュの家財さんと地区の自治会長さんに同行して頂けたので不安なくスムーズに完了出来ました。

今回移住した空き家は農地が含まれていました。ちょうど移住した年の4 月から農地法が改正され、空き家に付随した農地の売買に伴う所有権移転の申請が可能となりました。この申請は家財さんと町役場の農業委員会さんに手伝って頂きまして自分で申請することが出来、無事に許可されました。この許可証で不動産登記も自分で申請を行い登記も無事に終了することが出来ました。


移住して困ったことやびっくりしたこと

畑や庭を草刈りしているとき、予期せず草刈り機の刃が大きな石にぶつかると何故かガッカリします。一人で動かせないほどの大きな石から小石まで少しずつ取り除いてはいますが、ふるいを使って小石を取り除く作業では雨が降ると出来なかったり、取り除く石の量も把握できていないので、気持ちよく草刈りが出来るのはいつになるか分からないのが困りものです。

積雪については子供の頃に長井で経験していましたので覚悟していましたが、移住して初めての冬は雪が少なかったので楽に感じました。もちろん、朝起きて積雪していることもありましたので除雪は必要でした。その時に雪を寄せる場所が少なくムダに体力を使ってしまったので、この春からは今後の除雪が楽になるように庭のレイアウト変更を行っています。実際に冬の暮らしをしてみると、考えていたほど寒く感じなかった事。期間中は湿度が高いのも関係があるかと思いますが、心構えや服装などで装備を整えていた事も良かったんだと思います。それと今まで住んでいた埼玉では冬は空気が乾燥して、肌荒れや突然パチッと襲ってくる「痛い静電気」は当たり前だと思っていましたが、これらから解放されたことはびっくりするくらい想定外のラッキーでした。


地域との関わり

花壇の花植え、清掃作業など自治会への関わりは今までの暮らしよりも濃いものになっています。地域には焦らず急がず少しずつですが、馴染んでいけば良いのかなと思っています。

自宅の近くには他の方の畑がいくつかありますが、お見かけしたら積極的にご挨拶して少しだけでも世間話をするように心がけています。


現在の仕事について

20 年ほど前に勤めを辞めて自営業をやっています。インターネット上のホームページで依頼を受け、宅配で送ってもらい注文通りに仕上げて発送すると言う仕事です。国内どこにいても出来るため移住の障害にはならずに助かりました。

仕事の内容は主に趣味の自転車(ロードレーサー、ランドナーやマウンテンバイク等)のフレームの剥離塗装、フレームを傷つけてしまった際の補修塗装や各パーツの塗装を行っています。

剥離塗装時のフレームの色はそれまでと同じ色や希望する色を調色して塗ります。

リクエストがあれば剥離時に消えてしまうメーカーのロゴなどマーク類も復元しています。これは、ロゴを撮影した画像データをパソコンへ送り、画像編集ソフトでロゴの線画を作成してから透明な粘着シートに線画をプリントし、元のロゴに貼り付けて再度撮影後に画像編集ソフトで線画の歪みを修正と言う事を何度か繰り返して作ります。線画が完成したらプロッタと言う機械を使ってマスキングシートをカット。塗装が終わったフレームにそのカットしたマスキングシートを貼ってエアブラシで色を付けて行きロゴを復元すると言う作業です。

自宅の小さな看板のロゴは同じようにマスキングシートでマスキングを行い、塗装して作成しました。

工房にするために最小の改装中、この時は骨組みの状態ですが塗装ブースも作成している所です。現在は作業スペース等の関係で補修塗装と小物パーツ塗装のみを受けています。


今後の展望

移住前は家のリフォームを行いながら畑等の整理が出来ればと思っていましたが、実際に住んでみると畑が広めなこともあり維持するだけでも時間が掛かることが分かりました。今後の事を考えて、畑や家の周りの作業や維持にかかる時間や労力がなるべく減るように作業をしています。これらが落ち着いたら自宅リフォームに本腰を入れて行く予定でいます。

樹木の伐採は当初チェーンソーで切り倒してから根を掘り出しましたが、腰への負担があったので試しに根を砕きながら掘り進めてからレバー式ホイストで引き倒してみました。これだと椅子に腰かけながら根についた土を取り除けるので作業が楽になりました。

その後、太い幹などはチェーンソーで3-4cm の厚さにスライスして敷石のように使い、他の部分はガーデンシュレッダーでウッドチップにして畑の雑草対策に役立てています。

人力で動かせないような大きな石はハンマードリルを使って穴を開け、その穴に「セリ矢」を打ち込んで割っていき、動かせる大きさにしてから砂利引きエリアの下に敷く予定でいます。

畑の整理だけでは飽きてしまうので気分転換に色々育てています。いまの楽しみは四季なりのいちごです。夏の間は大味になりますが、数は取れるので冷凍してまとまった数になったらジャムにしています。

今回の移住では、移住定住コンシェルジュの家財さんをはじめ多くの方のご協力により移住をスムーズに行うことが出来ました。ご協力して頂きました皆様に御礼申し上げます。これからは他の方へのお手伝いなどの形で恩返しを行っていきたいと思っています。


飯豊町の魅力

暑い日に屋外で作業をした後に室内で扇風機の風を浴びるだけで汗が止まるところです。特に西の方から吹いてくる風は爽やかで気持ち良く好きです。

私にとっての魅力は、あまり意識していなくても今まで見る事のなかった生き物や生態に出会えることです。                          
キジ、アカゲラ、トンボの羽化などなど。自宅にいる時や散歩中に見つけて撮影した画像から一部をご紹介します。